スミレ科Violaceae(2)

 インターネットでViolaceaeを検索してみますと、厖大な情報を目にすることが出来ます。しかし科の下位分類はどのようになっているのか、 属は何種類あるのかというような、割と大まかなことでも未だ確固とした定説はないようで、まだまだ研究途上のように見えます。そこで今回は Wikipediaの分類に従って、Violaceaeとはどのようなものなのか見て行きたいと思います。

 まずDescriptionの項目。
Though the best-known genus, Viola, is herbaceous, most species are shrubs or small trees. The simple leaves are alternate or opposite, often with leafy stipules or the stipules are reduced in size. Some species have palmate shaped leaves or deeply dissected leaves. Many species are acaulescent. Inflorescence with solitary flowers or paniculate like, some species have cleistogamous flowers produced after or before the production of typically petaled flowers. Flowers are bisexual or unisexual (e.g. Melicytus), typically zygomorphic or actinomorphic with a calyx of five sepals that are persistent after flowering. Corolla with 5 mostly unequal petals, the anterior petal larger and often spurred. Plants with five stamens with the abaxial stamen often spurred at the base. The gynoecium is a compound pistil of three united carpels with one locule. Styles simple, ovary superior, ovules many.  The fruits are capsules splitting by way of three seams. Seeds with endosperm.

 これを翻訳してみます(あやしい訳ですが)。
最もよく知られている属 Violaは草木であるが、ほとんどの種は潅木あるいは小さな木である。単葉は互生または対生、しばしば葉状の托葉があるかまたは托葉は縮小する。時に掌 状の葉または深く裂けた葉をもつ。多くの種は無茎。単一の花をもつ花序かまたは円錐花序、ある種では典型的な花弁をもつ花を生じた後または前に閉鎖花を生 じる。花は両性または雌雄異花(例えばMelicytus)、典型的な左右相称か、開花の後も残る5片の萼をもつ放射相称である。花冠は5枚のほとんど不 均等な花弁をもち、前花弁がより大きくまたしばしば距をもつ。植物は5本の雄しべをもち、背軸側の雄しべはしばしば基部に距をもつ。雌しべ群は3個の心皮 が合一して1室をなす複合雌蕊である。花柱は単純、子房は上位、胚珠は多数。果実は3つの継ぎ目で割れる蒴果。種子は胚乳をもつ。

 手元の資料と見比べますと、液果が記されていないとか、Viola属の木本など、もの足りない点もあるのですが、簡潔に纏められていると思います。
  前回のブリタニカの橋本保さんによるスミレ科の解説にも閉鎖花が出てきましたが、ここでも科の記述に出てくるということは、Viola属だけではなく他の 属でも見られるということなのでしょうか。科内でViola属の種数が圧倒的に多いので書かれているのでしょうか、今後も気をつけて見て行きたいと思いま す。

 次にTaxonomyの項目。
ここではSubfamily、Tribe、Subtribe、Genusという4つの階層に分けて、合わせ て23の属が分類されています。植物名がリストされている有名なサイトをいろいろ調べて見ましたが、Violaceaeに属するGenusの数はサイトに よってまちまちで、Tropicosなどは過去に公表された属名を誤植と思われるような一字違いの名前も含めて全部で89属もリストアップしています。日 本の文献で最も詳しい「植物の世界」69で橋本保さんは属数を23として、説明文で21属を詳しく解説されています。このうち19属はWikipedia と一致し、あとの2属は後にその19属のなかの2属のsynonymとされたことが分かりましたので、Wikipediaの23属はまずは私が最初により どころにして必要十分なのではないかと思いました。

 そこでこれらの属を階層を加えて、また「植物の世界」の記述や各サイトからの情報で不足を補って以下の一覧表に仕上げました。

 種数については、属数よりもさらにサイトによってさまざまなのでおおよその目安です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレ科Violaceae

 新しい年を迎え、正月のほろ酔い気分も醒めて、さあ何かまた新たな勉強を始めるぞとあれこれ頭をめぐらすと、ふと、自分はしょっちゅうスミレ、スミレと言っているわりには、そもそもスミレってどんな植物なのかはっきりとは知らないことに気がつきました。日本のスミレならば図鑑をよく見ているので、全体的なイメージがすぐに思い浮かべられるのですが、世界のスミレ属、そしてなによりスミレ科ってどんな特徴を持った植物なのか、まるでイメージをつかめていないことに気がついたのです。
 よし、今年の初めはスミレ科の勉強から始めよう。というわけで、まず自分の持っているものや図書館の本や資料から調べて見ることにしました。

 「日本のスミレ」誠文堂新光社 1967年 著者:橋本保
 週間朝日百科「世界の植物」31 1976年 執筆者:前川文夫
 「日本の野生植物」第II巻 平凡社 1982年 執筆者:籾山泰一
 「園芸植物大事典」第3巻 小学館 1989年 執筆者:橋本保
 週間朝日百科「植物の世界」69 1995年 執筆者:橋本保
 「ブリタニカ国際大百科事典」 10 1995年 執筆者:橋本保

 見つけたのは上記の6点です。世界ではスミレ科の植物はどんなところにあって、どんな花が咲くのか、何種類くらいあるのか、どのように分類されているのか、どんなところに多く集まっているのか? このような疑問に対してかなりのヒントを与えてくれた資料は「植物の世界」と「日本のスミレ」でした。どちらも執筆者は橋本保さんです。
 これらの資料でまず基本的な知識を得てから、おいおいとインターネットの世界に検索の旅に出てみたいと思います。今後何か面白いことが分かったらまたこの続きを書くかも知れませんが、外国語の壁を越えられずに尻切れトンボで終わるかも知れません。その時はどうぞ悪しからず。

 「ブリタニカ国際大百科事典」に「スミレ」という項目があり橋本保さんが執筆しておられます。その中の小項目「スミレ科」が、百科事典関係では最も詳しかったので、以下引用します。(原文は縦書きですが、漢数字をそのままにして横書きにしました。)
「スミレ科 世界で二十余属九〇〇種以上ある。分布の中心は南アメリカのアンデス山麓で、大半の属が集中している。ほとんどの属が木本であるが、低木または草(多くは多年草)、ときにつる(アガテアAgatea、アンキエテアAnchietea、コリゥノスティリスCorynostylisの各属)となる。葉は互生、まれに対生し、普通は単葉であるが、ときに分裂する。葉の基部に托葉がある(托葉を欠くと記録されている種もある)。
 花は両性で、放射相称と左右相称のものがある。放射相称のものにリノレア属Rinorea(熱帯地方に二八〇〜三四〇種)アレクシス属Allexis(熱帯西アフリカに三種)、グロエオスペルムムGloeospermum(熱帯南アメリカに七〜十二種)、メリキュトゥス属Melicytus(ニュージーランド、ノーフォーク、フィジーに五種)、ヒュメナンテラ属Hymenanthera(オーストラリア東部、ノーフォーク、ニュージーランドに五〜七種)、イソデンドリオン属Isodendrion(ハワイに四〜十四種)があり、また左右相称のものにはアンピロックス属Amphirrhox(熱帯南アメリカに五〜六種)、パイパイローラ属Paypayrola(熱帯南アメリカに七種)、ヒュバントゥス属Hybanthus(熱帯および亜熱帯地方に八〇〜一五〇種)、アガテア属Agatea(ニューギニア、ニューカレドニア、フィジーに一二種)。アンキエテア属Anchietea(熱帯南アメリカに八種)コリュノスティリス属Corynostylis(熱帯南アメリカに四種)、シュバイゲリア属Schweiggeria(メキシコとブラジルに二種)、ノアゼッティア属Noisettia(熱帯南アメリカに一種)、スミレ属Viola(世界の温〜暖帯に約四五〇種)、レオニア属Leonia(熱帯南アメリカに三〜六種)がある。花はときに閉鎖花を生じ、単一または円錐花序となる。萼片、花弁、おしべは各五枚で、花糸は短く、葯は普通、接し合って子房と花柱を囲んでいる。葯は縦に裂開する。子房は上位、無柄、一室で三〜五の側膜胎座である。花柱は単一、しばしば先のほうでふくらみ、柱頭の付近で種々の形となる。果実は蒴果または液果となる。」
 そして続く小項目「スミレ属」では最初に以下のようにも書かれています。「スミレ科のなかでは最も進化の段階が高い属と考えられている」
う〜ん。どんなふうに進化してきたのだろう。今のところ全く手がかりなし。

 ところでIsodendrion属については、「植物の世界」69に説明と写真があり、左右相称花のグループに入れられていて上の説明と違っています。「世界の植物」31の方にもっと分かりやすい写真があり、1種類だけですが左右相称つまり1枚の花弁が他の4枚と異なって多少特殊化したような形をしています。ハワイ諸島にはこのスミレ科の1属だけでなくスミレ属にも一つの節をなすグループがそこだけに分布しています。海の中から生まれた絶海の孤島にどのようにしてスミレ科の種が分布するようになったのかというのも知りたいところです。
 ハワイの固有植物についてはオレゴン州立大学のGerald (Gerry) Carr教授のホームページが充実していて、その中にIsodendrion属の3種Viola属の7種の良い写真があります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(33) まとめ

 前回までで今年撮ったスミレの閉鎖花関係の写真はおしまいです。無茎種として、スミレV. mandshurica、アリアケスミレV. betonicifolia var. albescens、アカネスミレV. phalacrocarpa、ヒメスミレV. confusa ssp. nagasakiensis、ヒカゲスミレV. yezoensis、ヒナスミレV. tokubuchiana var. takedana、サクラスミレV. hirtipes、ヒゴスミレV. chaerophylloides forma sieboldiana、マルバスミレV. keiskei、ミヤマスミレV. selkirkii、スミレサイシンV. vaginata、アメリカスミレサイシンV. sororia。有茎種として、オオバタチツボスミレV. kamtschadalorum、ニョイスミレV. verecunda、イソスミレV. grayi、ナガハシスミレV. rostrata var. japonica、オオタチツボスミレV. kusanoana、フチゲオオバキスミレV. brevistipulata var. ciliata、シソバキスミレV. yubariana、エゾタカネスミレV. crassa ssp. borealis、ニオイスミレV. odorata、アオイスミレV. hondoensis、エゾアオイスミレV. collina、アイヌタチツボスミレV. sachalinensis、エゾノタチツボスミレV. acuminata。以上25種類。そのほかに開放花しか着けないものの参考写真としてナエバキスミレV. brevistipulata var. kishidai、キスミレV. orientalis、ビオラの一種を提示しました。今年栽培して観察したスミレとしてはこの他にタチツボスミレV. grypocerasが閉鎖花をつけましたがあまりに下手な写真なので出しませんでした。それとあとは最後まで開放花だけで、閉鎖花をまったくつけなかったものに、オオバキスミレV. brevistipulata、エゾキスミレV. brevistipulata ssp. hidakana、ケエゾキスミレV. brevistipulata ssp. hidakana var. yezoana、フギレオオバキスミレV. brevistipulata var. laciniataがあります。
 これでスミレの閉鎖花の全体像をまとめることはもとより出来ませんが、一応佐竹・伊藤「日本産スミレ属の分類学的研究 1.閉鎖花について」を参考にしながら、ほんの少しだけ自分の見たことをまとめてみたいと思います。

 花弁は無茎種ではまれに5枚あるものから何も見えないものまでいろいろですが、全体として萎縮していました。有茎種ではまれに2枚しかない閉鎖花もありましたが、概ね5枚あり、萎縮の程度は無茎種より弱く花弁らしい形をしていました。
 雌蘂は無茎種では短く単純な形のものが180度屈曲して子房の方に口を開くのが大勢でした。それに対して有茎種では最終的に曲がる方向とは逆の方に一回屈曲してから子房の方を向く、いわば?の形をしているのが標準のように思えました。
 雄蕊は無茎種では2個が基本のようでまれに3個や5個も見られました。有茎種では逆に5個が基本でまれに2個や3個の場合もあるようでした。
 葯は繭形の二つの半葯に分かれ、有茎種では多少細長い印象ですが、いずれも半葯は1室で出来ているのが基本のようでした。成熟した葯は無茎種では上部にぽっかりと穴が開いたような孔裂開の形が基本のようです。それに対して有茎種では上部からやがて下部まで縦に裂開するいわゆる縦裂開の形が基本のように見えました。不明なものも1、2種あり、来年への宿題です。
 開放花の解剖はほとんど出来ませんでしたが、いくつかの種では半葯が2室に分かれ、成熟するとそれらの2室が合体して1室となり、その合わせ目が縦に割れる縦裂開によって花粉を出すのが標準のようです。

 最後に再掲になるかもしれませんが、近縁なナエバキスミレの未熟な開放花(写真 1.)とフチゲオオバキスミレの未熟な閉鎖花(写真 2.)の雌蘂・雄蕊の写真を掲げます。

Img_2357 写真 1.

Img_2222 写真 2.

 先に書いた以外にも、開放花の雌蘂はどの種でも子房の上部で極端に細くなってそこで屈折します。これは訪花昆虫の接触などで柱頭がそこで曲がりやすいための適応形質らしい(田中肇「花と昆虫がつくる自然」)のですが、閉鎖花は昆虫とは関わらないので、屈折のある場合でも太さは変わらないようです。また閉鎖花では葯は小さくて雄蕊に花糸があるのに対して、開放花では大きく細長く花糸がほとんど見られません。

 このようにスミレの同じ一株につく開放花と閉鎖花ではその形態に大きな違いがあります。閉鎖花の利点は少ないエネルギー投資で効率的な種子生産ができるということのようです(森田竜義「植物の世界草本編(上)ナガハシスミレ」。閉鎖花は自家受粉によって種子生産を確実にしようとする適応と考えられていて(菊沢喜八郎「植物の繁殖生態学」)、実際、速水将人さんたちの研究でも、北海道内3ヶ所のフチゲオオバキスミレの開放花と閉鎖花の結実率を調べた結果、閉鎖花は開放花の結実低下を補っていることが見いだされました。 日本はスミレの国と言われています(浜栄助「原色日本のスミレ」)。それほどの繁栄にはスミレ類の閉鎖花による大量の種子散布も大きく貢献していると思われます。

 しかし中には北海道のフチゲオオバキスミレのように太平洋沿岸の狭い地域に点々と分布していて、どうみても遺存的で、現在の気候・環境下ではこれからどんどん分布を拡大するようには思えないものもあります。一方、古いオオバキスミレの系統から分化したと思われる閉鎖花をつけないオオバキスミレの集団が北海道の道南・道北に見られます。このオオバキスミレはもっぱら根茎を伸ばすクローン成長によって繁殖しているようなのです(速水将人・他「Intraspecific variation in life history traits of Viola brevistipulata (Violaceae) in Hokkaido」)。

 道内広い範囲に見られるフギレオオバキスミレも閉鎖花をつけませんのでこれもさらにこのオオバキスミレから新しく生まれたのではないかと想像されます。北海道ではフチゲオオバキスミレに比べて、これらのオオバキスミレ・フギレオオバキスミレの方が現状ではある程度成功を収めているように思われます。フチゲオオバキスミレと違って河川敷や河畔斜面、さらには雪崩斜面から雪田斜面へとニッチを開拓できているようです。根茎を伸ばしてその先に新しい芽をつくるクローン成長は、水流や斜面崩壊によって、途中で切れても切れ端から新たな個体として成長することが出来ます。まるで自家受粉によるクローン種子をばらまく閉鎖花と似ていないでもありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(32) 有茎種補遺

 閉鎖花の写真はこれで最後です。今回は有茎種でまだ提示していなかったエゾノタチツボスミレV. acuminataとアイヌタチツボスミレV. sachalinensis。両種とも閉鎖花の解剖が出来ずに終わってしまいました。

 写真 1.〜5.が栽培下のエゾノタチツボスミレV. acuminata。開放花由来の果実、閉鎖花、閉鎖果、そして半割写真の順です。

Imgp6594 写真 1.

Imgp6845 写真 2.

Imgp7043 写真 3.

Img_1400 写真 4.

Img_1402 写真 5.

 写真 6.〜10.は栽培下のアイヌタチツボスミレV. sachalinensisの開放花由来の果実、閉鎖花、閉鎖果、そして閉鎖花の半割写真です。

Imgp6424 写真 6.

Imgp6852 写真 7.

Imgp6874 写真 8.

Img_1433 写真 9.

Img_1428 写真 10.


| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(31) エゾアオイスミレ

 このブログでは(17)オオバタチツボスミレからずっと有茎種の閉鎖花を見てきました。今回はエゾアオイスミレV. collinaです。(29)からのニオイスミレ類は地上に匍匐茎があることから有茎種に分類されてきましたが、そのなかでエゾアオイスミレは匍匐茎を持たないので例外とされてきました。(いがりまさし「日本のスミレ」など。)しかし鉢植えの写真 3.を見ますと2cmほどの地上茎を出しています。(30)のアオイスミレの地上茎を短くしただけの姿をしていて、良く似た形態をしていました。写真 1.が閉鎖花。写真 2.が閉鎖果です。そして写真 3.が昨日の写真なのですが、短い地上茎の先などに蕾がいくつか写っています。私はニオイスミレ・アオイスミレと同様にこれをずっと閉鎖花だと勘違いしていました。写真 4.〜8.までがその一つを解剖した連続写真です。

Imgp7072 写真 1.

Imgp7069 写真 2.

Imgp7444 写真 3.

Img_2744 写真 4.

Img_2745 写真 5.

Img_2746 写真 6.

Img_2748 写真 7.

Img_2751 写真 8.

 蕾は未成熟で葯は4室に分かれ、柱頭はアオイスミレの未熟な蕾の柱頭と同じく単純な形で柱頭口は上を向いています。

 半割写真や開放花由来の果実の写真、花粉の出た蕾の解剖写真などもあるのですが、あまりに品質が良くないので今回は提示をあきらめます。他日を期したいと思います。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(30) アオイスミレ

 だんだん出すものが無くなってきたのですが、今回はアオイスミレV. hondoensisの閉鎖花。これもニオイスミレと同じく時期を失して解剖写真を撮れませんでした。写真 1.と2.が7月30日の半割写真。

Img_1647 写真 1.

Img_1648 写真 2.

 写真 3.は11月6日、つまり今日の鉢植えの様子です。かなり前から匍匐茎の先などに蕾がたくさん出来ていました。私はこれを閉鎖花と勘違いしていました。写真 4.〜6.がこの中の一つの蕾を解剖した連続写真です。

Imgp7445 写真 3.

Img_2783 写真 4.

Img_2786 写真 5.

Img_2788 写真 6.

 蕾らしいものが出来はじめてもう一月にもなりますが成長は遅々として進まず、途中でこれは閉鎖花ではなさそうだと気がつきましたがもう遅すぎました。佐竹・伊藤「日本産スミレ属の分類学的研究 1.閉鎖花について」では以下のような閉鎖花の図が載っています。図にはこれだけしか描かれていませんが、5花弁、5雄蕊があると書かれています。この点はやはり有茎種の閉鎖花に共通の要素を持っているようです。柱頭は写真 6.とは違い、180度屈曲しています。葯も半葯が1室のようです。写真 6.では柱頭がタチツボスミレ系にも似て単純な形をして柱頭口も上を向いていますが、ニオイスミレでも未成熟の内はこれと全く同じ形をしていて、徐々に細く尖ってきて90度横を向いてきます。おそらくアオイスミレでも同じ経過をたどるのではないかと思います。いがりまさし「日本のスミレ」には、世界のニオイスミレ類について「球形の果実、カギ形に曲がる花柱の先などが主な特徴。」と書かれています。

V_hondoensis 

 栽培下での閉鎖花と閉鎖果。2013年7月9日。

Imgp7079 写真 7.

 いまだに開放花の蕾をたくさん着けて、なおかつほとんど成長が止まったまま、というのは今年栽培したニオイスミレ類、ニオイスミレ・アオイスミレ・エゾアオイスミレの3種に共通しています。これはいったいどんな役割を果たすのか、これらが雪の下に隠れるまで、そして来春雪が融けるまで観察を継続する必要がありそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(29) ニオイスミレ

 今回はニオイスミレV. odorataの閉鎖花。残念ながら解剖写真は撮れませんでした。写真 1.は6月22日、閉鎖花と閉鎖果が写っています。写真 2.は7月20日の半割写真。ニオイスミレは家の敷地にも、近くの防風林にもたくさんあるので油断していたのです。鉢植えの株からでも20本くらいの匍匐茎を出して、その途中や先端に蕾をつけました。私はそれらは皆閉鎖花だと思い込んでいました。9月の末から解剖をはじめたのですが閉鎖花ではなかったのです。結局13個も解剖しましたが全部開放花の蕾でした。おかしいと思ってこんどは敷地の中のニオイスミレの各蕾に標識をしてずっと様子を見ました。気温低下とともにそれらの成長はほとんどストップしてしまったのですが、その中のいくつかは花弁が伸びてきて花を咲かせたのです。いわゆる返り咲きの部類に入るのでしょうか。

Imgp6814 写真 1.

Img_1416 写真 2.

 10月11日の蕾。

Img_2515 写真 3.

Img_2517 写真 4.

Img_2518 写真 5.

Img_2521 写真 6

Img_2522 写真 7.

 以下の3枚の写真は11月5日、今日の解剖写真です。まだ花をつけそうな株もあります。すごい生命力。

Imgp7436 写真 8.

Img_2774 写真 9.

Img_2779 写真 10.

 開放花由来の果実。

Imgp6270 写真 11.

 閉鎖花の写真が写真 2.だけというのは何とも心許ないのですが、ニオイスミレの閉鎖花について顕微鏡写真もたくさん載っている Mayers, A. M. and Lord, E. M. Comparative Flower Development in the Cleistogamous Species Viola Odorata を見ますと柱頭は180度曲がって子房の方を向き、花柱も短くなっています。写真 6.〜9.の柱頭は明らかに開放花と同じで、10月に防風林にも何度か探しに行きましたが、寒くなってからは閉鎖花を見つけることは出来ませんでした。そういう性質を持ったスミレなのかも知れません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(28) ビオラ

 今回はちょっと閉鎖花を“休憩”して、玄関前のプランターのビオラ(タフテッド・パンジー)の開放花を解剖してみました。かなり大きくて萼などは写真を2枚も使ってしまいましたけれど、写真 1.〜7.までが蕾。写真 8.〜11.までが完全に開いた花の解剖連続写真。写真の上部の目盛りは1mmです。

Img_2572 写真 1.

Img_2573 写真 2.

Img_2574 写真 3.

Img_2575 写真 4.

Img_2578 写真 5.

Img_2579_2 写真 6.

Img_2580 写真 7.

Imgp7368 写真 8.

Img_2691 写真 9.

Img_2692 写真 10.

Img_2695 写真 11.

 花柱や柱頭の形、側面の毛など、オオバキスミレなどのchamaemelanium節の雌蘂と似たところもあります。写真 9.〜10.を拡大しますと良く分かるのですが、5個の葯は両脇に長い毛を生やしていて、それがお互いに絡まり、なかなか離れてきません。がっちりとスクラムを組んで、中に花粉を閉じ込めているように思えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(27) エゾタカネスミレ

 今回はエゾタカネスミレV. crassa ssp. borealisの閉鎖花。これも山草店で購入したものです。残念ながら解剖を行ったのは1個しかなく、しかも受粉後かなりたっているものでした。写真 1.〜2.。かろうじて葯の縦裂開がわかる程度でした。それだけではあまりに芸がないので、写真 3.〜6.まで閉鎖花の半割写真を挙げます。オオバキスミレ系と同じく雌蘂は?形で大きな柱頭口が子房方向を向いています。

Img_1730 写真 1.

Img_1731 写真 2.

Img_1583 写真 3.

Img_1586 写真 4.

Img_1605 写真 5.

Img_1726 写真 6.

 たくさん出来る閉鎖花と閉鎖果。写真 7.〜8.

Imgp7255 写真 7.

Imgp7231 写真 8.

 閉鎖花を次々とつけている最中の8月4日になって一つだけ変わった蕾があったので切ってみました。どうやらこれは開放花の蕾のようです。雌蘂の形がまるで違っていました。葯がどうやら4室に分かれているらしいことも見て取れます。

Img_1733 写真 9.

Img_1736 写真 10.

 ついでに開放花由来の果実の写真です。

Imgp6677 写真 11.


| | コメント (0) | トラックバック (0)

スミレの閉鎖花(26) シソバキスミレ

 山草店から購入したシソバキスミレV. yubarianaの閉鎖花。写真 1.〜3.が受粉後の閉鎖花、写真 4.〜6.が受粉前の閉鎖花の解剖連続写真。鉢栽培のせいだとは思いますが、花がとても小さくて解剖が大変でした。

Img_1842 写真 1.

Img_1843 写真 2.

Img_1845 写真 3.

Img_1847 写真 4.

Img_1848 写真 5.

Img_1849 写真 6.

 全体としてフチゲオオバキスミレの閉鎖花によく似ています。少しずんぐりした形になっています。雄蕊の花糸は短いのや長いものもありまちまちです。写真 6.では半葯が2室に分かれているのが見られますが、別の未熟な閉鎖花の写真では全て1室で、これも決まっていないのかも知れません。葯は縦裂開。写真 7.でもよく分かりますが、雌蘂の形は?形でフチゲオオバキスミレと同様柱頭は単純な形をしていて、柱頭口は下を向いています。

Img_1694 写真 7.

 栽培中の閉鎖花の写真。小さな閉鎖花を茎頂から次々と出していつのまに果実になっていました。

Imgp7250 写真 8.

 栽培中の閉鎖果。

Imgp7251 写真 9.

 栽培中の開放花由来の果実。

Imgp6437 写真 10.


| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧