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スミレ科Violaceae

 新しい年を迎え、正月のほろ酔い気分も醒めて、さあ何かまた新たな勉強を始めるぞとあれこれ頭をめぐらすと、ふと、自分はしょっちゅうスミレ、スミレと言っているわりには、そもそもスミレってどんな植物なのかはっきりとは知らないことに気がつきました。日本のスミレならば図鑑をよく見ているので、全体的なイメージがすぐに思い浮かべられるのですが、世界のスミレ属、そしてなによりスミレ科ってどんな特徴を持った植物なのか、まるでイメージをつかめていないことに気がついたのです。
 よし、今年の初めはスミレ科の勉強から始めよう。というわけで、まず自分の持っているものや図書館の本や資料から調べて見ることにしました。

 「日本のスミレ」誠文堂新光社 1967年 著者:橋本保
 週間朝日百科「世界の植物」31 1976年 執筆者:前川文夫
 「日本の野生植物」第II巻 平凡社 1982年 執筆者:籾山泰一
 「園芸植物大事典」第3巻 小学館 1989年 執筆者:橋本保
 週間朝日百科「植物の世界」69 1995年 執筆者:橋本保
 「ブリタニカ国際大百科事典」 10 1995年 執筆者:橋本保

 見つけたのは上記の6点です。世界ではスミレ科の植物はどんなところにあって、どんな花が咲くのか、何種類くらいあるのか、どのように分類されているのか、どんなところに多く集まっているのか? このような疑問に対してかなりのヒントを与えてくれた資料は「植物の世界」と「日本のスミレ」でした。どちらも執筆者は橋本保さんです。
 これらの資料でまず基本的な知識を得てから、おいおいとインターネットの世界に検索の旅に出てみたいと思います。今後何か面白いことが分かったらまたこの続きを書くかも知れませんが、外国語の壁を越えられずに尻切れトンボで終わるかも知れません。その時はどうぞ悪しからず。

 「ブリタニカ国際大百科事典」に「スミレ」という項目があり橋本保さんが執筆しておられます。その中の小項目「スミレ科」が、百科事典関係では最も詳しかったので、以下引用します。(原文は縦書きですが、漢数字をそのままにして横書きにしました。)
「スミレ科 世界で二十余属九〇〇種以上ある。分布の中心は南アメリカのアンデス山麓で、大半の属が集中している。ほとんどの属が木本であるが、低木または草(多くは多年草)、ときにつる(アガテアAgatea、アンキエテアAnchietea、コリゥノスティリスCorynostylisの各属)となる。葉は互生、まれに対生し、普通は単葉であるが、ときに分裂する。葉の基部に托葉がある(托葉を欠くと記録されている種もある)。
 花は両性で、放射相称と左右相称のものがある。放射相称のものにリノレア属Rinorea(熱帯地方に二八〇〜三四〇種)アレクシス属Allexis(熱帯西アフリカに三種)、グロエオスペルムムGloeospermum(熱帯南アメリカに七〜十二種)、メリキュトゥス属Melicytus(ニュージーランド、ノーフォーク、フィジーに五種)、ヒュメナンテラ属Hymenanthera(オーストラリア東部、ノーフォーク、ニュージーランドに五〜七種)、イソデンドリオン属Isodendrion(ハワイに四〜十四種)があり、また左右相称のものにはアンピロックス属Amphirrhox(熱帯南アメリカに五〜六種)、パイパイローラ属Paypayrola(熱帯南アメリカに七種)、ヒュバントゥス属Hybanthus(熱帯および亜熱帯地方に八〇〜一五〇種)、アガテア属Agatea(ニューギニア、ニューカレドニア、フィジーに一二種)。アンキエテア属Anchietea(熱帯南アメリカに八種)コリュノスティリス属Corynostylis(熱帯南アメリカに四種)、シュバイゲリア属Schweiggeria(メキシコとブラジルに二種)、ノアゼッティア属Noisettia(熱帯南アメリカに一種)、スミレ属Viola(世界の温〜暖帯に約四五〇種)、レオニア属Leonia(熱帯南アメリカに三〜六種)がある。花はときに閉鎖花を生じ、単一または円錐花序となる。萼片、花弁、おしべは各五枚で、花糸は短く、葯は普通、接し合って子房と花柱を囲んでいる。葯は縦に裂開する。子房は上位、無柄、一室で三〜五の側膜胎座である。花柱は単一、しばしば先のほうでふくらみ、柱頭の付近で種々の形となる。果実は蒴果または液果となる。」
 そして続く小項目「スミレ属」では最初に以下のようにも書かれています。「スミレ科のなかでは最も進化の段階が高い属と考えられている」
う〜ん。どんなふうに進化してきたのだろう。今のところ全く手がかりなし。

 ところでIsodendrion属については、「植物の世界」69に説明と写真があり、左右相称花のグループに入れられていて上の説明と違っています。「世界の植物」31の方にもっと分かりやすい写真があり、1種類だけですが左右相称つまり1枚の花弁が他の4枚と異なって多少特殊化したような形をしています。ハワイ諸島にはこのスミレ科の1属だけでなくスミレ属にも一つの節をなすグループがそこだけに分布しています。海の中から生まれた絶海の孤島にどのようにしてスミレ科の種が分布するようになったのかというのも知りたいところです。
 ハワイの固有植物についてはオレゴン州立大学のGerald (Gerry) Carr教授のホームページが充実していて、その中にIsodendrion属の3種Viola属の7種の良い写真があります。

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