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スミレの閉鎖花(30) アオイスミレ

 だんだん出すものが無くなってきたのですが、今回はアオイスミレV. hondoensisの閉鎖花。これもニオイスミレと同じく時期を失して解剖写真を撮れませんでした。写真 1.と2.が7月30日の半割写真。

Img_1647 写真 1.

Img_1648 写真 2.

 写真 3.は11月6日、つまり今日の鉢植えの様子です。かなり前から匍匐茎の先などに蕾がたくさん出来ていました。私はこれを閉鎖花と勘違いしていました。写真 4.〜6.がこの中の一つの蕾を解剖した連続写真です。

Imgp7445 写真 3.

Img_2783 写真 4.

Img_2786 写真 5.

Img_2788 写真 6.

 蕾らしいものが出来はじめてもう一月にもなりますが成長は遅々として進まず、途中でこれは閉鎖花ではなさそうだと気がつきましたがもう遅すぎました。佐竹・伊藤「日本産スミレ属の分類学的研究 1.閉鎖花について」では以下のような閉鎖花の図が載っています。図にはこれだけしか描かれていませんが、5花弁、5雄蕊があると書かれています。この点はやはり有茎種の閉鎖花に共通の要素を持っているようです。柱頭は写真 6.とは違い、180度屈曲しています。葯も半葯が1室のようです。写真 6.では柱頭がタチツボスミレ系にも似て単純な形をして柱頭口も上を向いていますが、ニオイスミレでも未成熟の内はこれと全く同じ形をしていて、徐々に細く尖ってきて90度横を向いてきます。おそらくアオイスミレでも同じ経過をたどるのではないかと思います。いがりまさし「日本のスミレ」には、世界のニオイスミレ類について「球形の果実、カギ形に曲がる花柱の先などが主な特徴。」と書かれています。

V_hondoensis 

 栽培下での閉鎖花と閉鎖果。2013年7月9日。

Imgp7079 写真 7.

 いまだに開放花の蕾をたくさん着けて、なおかつほとんど成長が止まったまま、というのは今年栽培したニオイスミレ類、ニオイスミレ・アオイスミレ・エゾアオイスミレの3種に共通しています。これはいったいどんな役割を果たすのか、これらが雪の下に隠れるまで、そして来春雪が融けるまで観察を継続する必要がありそうです。

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