スミレの閉鎖花(21) オオタチツボスミレ
鉢植えのオオタチツボスミレV. kusanoanaの閉鎖花。写真 1.〜3.が解剖連続写真です。
花弁が5枚、雄蕊も5個、花糸はやや幅広く、葯隔は広く、半葯は細長い繭形などの特徴がわかります。またナガハシスミレのページで注目しました葯の縦裂開も見えています。花柱は?形に屈曲し、柱頭口は広く開いています。
そのあたりの形態が良く分かるように、さらに2個別の閉鎖花の写真を提示しました。各半葯が1室であるらしいことも見えるかと思います。
鉢植えの閉鎖花写真。
同じく鉢植えの閉鎖果の写真。
鉢植えの開放花由来の果実の写真。
半割の写真は良いものがありませんので今回はパスします。その代わりといってはなんですが、以下の写真 9.〜写真 14.まで、今日撮った解剖連続写真です。この個体は、家の敷地内で今年自然と芽生えてきたもので、1個だけつけていた開放花を採取したものです。いわゆる返り咲きというものだと思います。濃い緑色の葉の形はオオタチツボスミレの形をしていますが、花の距に赤みが点しているところを見ますと、タチツボスミレとの交雑かも知れません。このようなどちらとも言い難いようなスミレが昔から敷地に生えていました。ここはその詮議をちょっと置いておいて、ちょうど良い機会ですので開放花の構造との違いを勉強するために解剖してみました。
勘の良い方は、きょうまでオオタチツボスミレを引き延ばしていたわけが分かったのではないかと思いますが、もう待ちきれなくて、まだ開ききらないのに採取しました。葯は写真 12.の右上の1個がかすかに縦裂開を始めていて、花粉が少しこぼれていましたが、ほかはまだでした。それでも、柱頭口が大きく開いて、葯を切りますと中に花粉がびっしりとつまり、また葯が各2室に分かれている事もわかります。花弁の距もさることながら下方の2個の葯の距(脚柱)もすごい。これらの構造が出来上がって行く過程を観察する事を来春の目標にしたいと思っています。
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