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スミレの閉鎖花(19) イソスミレ

 栽培中のイソスミレV. grayiの閉鎖花。写真 1.〜4.まで同一閉鎖花の解剖連続写真。写真 5.〜8.はそれとは別の閉鎖花の連続写真。

Img_1908_4 写真 1.

Img_1909 写真 2.

Img_1912 写真 3.

Img_1916 写真 4.

Img_2232 写真 5.

Img_2233 写真 6.

Img_2234 写真 7.

Img_2235 写真 8.

 以下、半割写真2枚。

Img_1765 写真 9.

Img_1663 写真 10.

 有茎種最初のオオバタチツボスミレのページに載せました佐竹・伊藤「日本産スミレ属の分類学的研究 1.閉鎖花について」のまとめの部分を再掲します。
 「有茎種の場合は、今までのべた無茎種についての事情とはかなり違ってくる。有茎種のあるものは、花の構成部分は、それぞれの開花にほぼ同様で、子房をとりまいて5個の花弁、5個の雄ずいがあり、花弁は無茎種のものよりもずっと顕著で、雄ずいは花糸が広く、短かく、葯は長大で葯隔も広い。ただ花柱だけは短かく、極端に屈曲して柱頭が広く大きい点が無茎種と同様である。(中略)これらのあるものは下弁に隣接する2雄ずいのみはつねに完全であるが、他の3個は生成しているけれども、平扁の膜状になったり、葯を欠いたり、葯が発達していなかったりしている。」
 花糸が短く、葯が細長いかどうかはこれだけでははっきりしませんが、おおむね書かれている通りです。私が注目しているのは写真 10. ではっきり見えていますが、花柱の屈曲具合です。ある程度伸びたものをむりに折りたたんで葯に近づけたような姿をしています。この形態は後日提示する予定の他のタチツボスミレ系統と黄花種に共通しているようです。全体として無茎種各種ほど特殊化が進んでいなくて、開放花からの変形が中途半端な状態に留まっているようにも思えます。

 同じ論文で非常に興味深い以下のような指摘が書かれています。「有茎種の閉花の解剖、観察の途中で、ナガバノタチツボスミレとタチツボスミレのたくさんの材料で、思いがけず重要な事実を発見した。それは開花においてもまた、ごく幼い蕾のときは花柱が屈曲し、柱頭も広く大きな点が閉花と同様で、満開時の柱頭の形へ移行する成長段階において、さまざまな変形を示す事実である。それはナガバノタチツボスミレとタチツボスミレの長さ5mmの完全にがくに包まれた蕾、やや花弁のほぐれかけた蕾、それから満開の花と、各段階の材料によって観察したが、それらは幼い時期にすでに受精が行われているだろうという推測が成り立つものである。」
 私もこの点は来春是非確かめてみたいと思っています。

 論文では、スミレ類が幼い時期にすでに閉鎖花のような形で自家受粉していて、他の花の花粉が入る余地があまり無いということを詳しく論じていますが、とりあえず閉鎖花に関係する引用はこのあたりでおしまいにしておきます。もしかしたら有茎種の閉鎖花の形態は、開放花の形態と無茎種型の閉鎖花との中間的形態としてそれらをつなぐ位置にあるのかも知れません。開放花のような伸びた花柱からこのような形が出来てきたのではなくて、幼い姿のまま成長がストップしたのが閉鎖花の由来だとしたらとても面白いのですが。

 以下2枚は鉢植えの閉鎖花と閉鎖果。

Imgp7259 写真 11.

Imgp7260 写真 12.

 今年6月13日に苫小牧で写した開放花由来の果実の写真。

Imgp6553 写真 13.

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