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中国数字植物标本馆

中国数字植物标本馆Chinese Virtual Herbarium, CVH

 中国科学院を中心とする26の大学・研究所・植物園が共同で作成した植物標本データベース。現在250万以上の標本から検索できるとのこと。

「一般标本查询」を選択、
ここで検索。
Violaでは12000以上がHitします。
今回私が行った検索Viola brevistipulataでは32件がHitします。
 一件ずつクリックして見て行きますと、採集者、採集日、採集地、標本画像などが現れます。
中科院植物所植物标本馆(PE)に26、その他に6点あることが分かります。標本画像があるのはこのうち本馆の26点。

一方「分布式检索」では多少時間がかかりますが標本館のそれぞれから検索します。たとえばViolaでは
中科院植物所植物标本馆(PE)    10728
广西植物研究所标本馆(IBK)    467
中科院西高所青藏高原生物标本馆(QTPMB)    435
中科院武汉植物园标本馆(HIB)    34
东北农业大学标本馆(NEAU)    601
贵州省科学院生物研究所植物标本馆(HGAS)    0
などと表示されるので、そこからそれぞれの標本館ごとに検索結果を一覧表の形式で展開し、1点ずつ見て行くことが出来ます。(この検索で画像を大きく見るには图像原大显示の拡張子をjpgに変更してダウンロードするか、Excelから開けば見ることが出来ます)

Viola brevistipulataでは中科院植物所植物标本馆(PE)に75件あると検索されました。

 意外にもさきほどの検索結果と違っていますので、両方の結果をつけあわせて見ますと、75件には一部同じデータが重複しているようですし、両方の検索結果は一部分が互いに共通していて、完璧な照合ではありませんが今回はとりあえず72点のユニークなデータを抽出できました。これだけでも私としては非常に大きな成果です。

 それを見ますと、古瀬義(Furuse Miyosi)採集が47と最も多く、国立科博・東京大学・京都大学・東北大学・千葉県立中央博物館・Kew植物園・ミズーリ植物園などとの標本交換で作られたコレクションだと言うことが分かります。

 古瀬義(1911〜96)という人については「自然科学のとびら」15巻4号(2009.12.15)に詳しく載っています。生涯に15万点にのぼる標本を作製し国立科博や東京大学そして海外にも送った日本最後のプラントハンターと書かれています。(ブラウザーで新しいウインドウを開いて以下のurlを入力すると見ることが出来ますnh.kanagawa-museum.jp/tobira/15-4/5tanaka.pdf)
 
 Viola brevistipulataでは青森県・岩手県・秋田県・山形県・新潟県・群馬県・長野県・鳥取県などの地名がラベルから読み取れます。北海道ではアポイ岳・夕張岳・芦別岳の高山帯から標本を得ています。
 もちろんこのデータベースに登録されている古瀬標本は莫大で、Viola・Fureseで検索しただけでも公開限界を超えてしまっていて、北海道の他のスミレについてはまだ手つかずです。それにしても中国に送られた標本は副標本であって、もっとたくさんの同じ標本は国内にあるはずです。高精細画像をともなった使いやすく多機能なデータベースが公開されるのを待ちたいと思います。

 古瀬さん以外では稲垣貫一さんが幌満岳でエゾキスミレ、江丹別でオオバキスミレ、目国内岳でフギレオオバキスミレを採集しています。
 本州ですが古くは須川長之助の南部でのオオバキスミレも見ることが出来ます。

 このデータベースのすごいところは、データが統一したフォーマットで入力され、その大半が画像を伴っているところです。画像は拡大可能で十分な解像度があります。
また種ごとに「中国植物志」の該当するページへのリンク、カラー生態写真へのリンクも充実していて至れり尽くせりです。

 いずれにしても中国のこの分野に於ける国家的な力の入れようとマンパワーの大きさにはおどろかされます。

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