札幌の花
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札幌の花
著者:安原 修次 |
著者の安原修次さんはもとは学校の先生でした。
都会の周りで美しい花をつける野草が開発や盗掘によって年々無くなってゆくことを憂慮して、48歳で退職し野の花をカメラで記録してそれぞれの地域毎の写真集として残そうと思い立ちました。59歳の時初めて北海道に来られましたが、それまでに東京や京都、名古屋など政令指定都市を中心に15冊の花の本を上梓しています。札幌でアパートを借り、1年で一冊の本に仕上げる予定でしたが、一と月後撮影中に岩場から転落するというアクシデントに見舞われ、結局2年がかりで完成することになってしまいました。
札幌の市域全体を取材した花の写真集としてはおそらく初めてのものでしょう。私は、安原さんのことが新聞に載ったので、さっそくお電話して、まだ出来てもいないこの本を予約してしまいました。
スミレは4種類載せられています。
スミレサイシン、オオタチツボスミレ、シロバナミヤマスミレ、ミヤマスミレ。
ミヤマスミレは札幌周辺の山でごく普通に見られます。シロバナミヤマスミレも見たことがあります。安原さんの1ページ全部を使ったミヤマスミレの写真が素敵です。
全くこの写真のとおりです。じーっと見つめていると、今まさにスミレの季節、地面の上にかがみこんで、20数個の花のそれぞれにまた会えたねと声をかけている自分を見いだすのです。
安原さんの花の写真はなんとも自然体で、見ていて心安らぐものがあります。おそらく何度も下見をして、花がちょうどよく咲いた頃に花との出会いを喜びながら、時には涙しながら、時間をかけてじっくりとシャッターを押されたからでしょうか。
私の手もとのこの本の見返しには、署名とともに「野の花は精一杯に今を咲く」と墨書されています。
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