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新北海道の花

Book 新北海道の花

著者:梅沢 俊
販売元:有限中間法人 北海道大学出版会
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Hokkaidounohana_1 待ちに待った本がようやく出ました。
 北海道大学出版会が14年ぶりに新しい北海道の花の図鑑を出したのです。著者は梅沢俊氏。
前身の図鑑と比べると90ページほど厚くなった以外は外観はそっくりです。野外で持ち歩くのにぴったりの大きさ。花の色で6つのグループに分け、1ページにほぼ3種、写真と解説が左右半分ずつという基本スタイルも変わりません。
 外観は似ていますが中身はまったく新しくなりました。
 以下気のつくままに挙げてみます。以前は解説文の部分に白地が目立ったのですが、今回は字がびっしり。野外で全部読むのはたいへんじゃないかと思えるくらい書き込まれています。文章は写真家として全ての花と対峙した著者のオリジナルな厳選された言葉が並び、実に丁寧で分かりやすい。
 以前は1つの種に1枚の写真だけというのが普通でしたが、今回は拡大写真、果実の写真、近似種との比較写真など、空いているスペースをフルに使って、写真で見分ける図鑑という性格が付け加わっています。
 収録種数も大幅に増え、まだ正式な発表がなされていない種も載っていたりいます。使われている写真はほとんど全てが新規のもの。撮影地とともに撮影日が入れられているのもうれしい。

 惜しいなと思う点もあります。なにせ内容が盛りだくさんのせいで写真が小さいと感じます。スペースの関係上、近似種を一項目にまとめたものが結構あって、写真はあっても学名の書かれていないものが多い。そして私としては色別ではなくやはり科毎にまとめてほしかったと思う。
 巻末に「逆引き主要和名索引」としてスミレとかチドリとかリンドウとかをまとめてあるのはかつてない試みだとは思いますが、キバナノコマノツメやスミレサイシンが抜けてしまうし、ムシトリスミレなどという入って欲しくないものも混じってしまいます。

 さてスミレ科は如何。
〈黄やオレンジの花〉ジンヨウキスミレ、キバナノコマノツメ、エゾタカネスミレ、シソバキスミレ、オオバキスミレ、ミヤマキスミレ、フギレオオバキスミレ、フチゲオオバキスミレ、エゾキスミレ、ケエゾキスミレ、フギレキスミレ
 〈白い花〉シレトコスミレ、ヒカゲスミレ、マルバスミレ、ウスバスミレ、チシマウスバスミレ、シロスミレ、ニョイスミレ(ツボスミレ)、アギスミレ
 〈赤・ピンクや赤紫の花〉ヒナスミレ、アケボノスミレ、
 〈青や青紫の花〉エゾノタチツボスミレ、タチツボスミレ、オオタチツボスミレ、ナガハシスミレ、イソスミレ、オオバタチツボスミレ、タカネタチツボスミレ、アイヌタチツボスミレ、アポイタチツボスミレ、ミヤマスミレ、フイリミヤマスミレ、ニオイタチツボスミレ、イブキスミレ、タニマスミレ、スミレ、アナマスミレ、スミレサイシン、サクラスミレ、アカネスミレ、アオイスミレ、エゾアオイスミレ、コスミレ、ニオイスミレ
 以上、変種も品種も含めて記述のあるものの名前を全部挙げてみました。このうちミヤマキスミレ、チシマウスバスミレ、タカネタチツボスミレを除いて全て写真があります。何を種とし、変種・品種とするかによってその扱いが大いに変わってくるのは図鑑の常ですが、この本では講談社のFrola of Japanに基づいた中井秀樹氏の見解によっています。

 イブキスミレ、ニオイタチツボスミレ、コスミレの北海道内での写真はあまり出たことがなかったものです。(コスミレは二次的に生えた可能性があると書かれています。)ニオイスミレは帰化植物です。

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