レッドデータプランツ
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レッドデータプランツ―ヤマケイ情報箱
著者:矢原 徹一,永田 芳男 |
環境庁の2000年版維管束植物レッドデータブックに掲載された植物の図鑑。写真は永田芳男氏お一人によって撮影されたもの。副題の「絶滅危惧植物図鑑」の方がどれほど撮影に困難が伴うか想像しやすい。写真のある841種のうちスミレ科は15種。1種について2枚の写真と専門家による解説文、永田芳男氏の撮影記、県別の分布表からなっています。
北海道にしか分布しない種は4種、シソバキスミレ、ジンヨウキスミレ、タニマスミレ、アポイタチツボスミレ(解説は全て高橋英樹氏)。このほか北海道で撮られたものではありませんが、道内にも分布する種類としてはエゾタカネスミレ(広義のタカネスミレの一部として)、オオバタチツボスミレ、チシマウスバスミレの3種が掲載されています(解説は井上健氏が担当)。
タニマスミレに1ページ費やされているのが目を引きます。解説によれば、アラスカや東シベリアから千島列島やサハリンを経由してはるばる北海道にも分布の足を伸ばしたものらしい。永田芳男氏は、日本のスミレ全種類を撮影して歩いたが今もっとも絶滅を心配しているのがこのスミレだとのこと。生えている環境、その姿、葉の形、花びらの様子、側弁の毛、頭がふくらんで先が尖った柱頭の様子、唇弁に描かれた筋の形などなど、汲めども尽きぬ情報の宝庫のような写真です。
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