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山の花1200

決定版 山の花1200-山麓から高山まで Book 決定版 山の花1200-山麓から高山まで

著者:青山 潤三
販売元:平凡社
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 著者の青山潤三さんは私とほとんど同じ歳。どんな仕事を見せてくれるのか気になる人のひとりです。本が出る度に読んできました。屋久島や小笠原の自然に関する本を何冊も出しています。蝶の本は6冊になり、中国の蝶の生態図鑑まで出しました。蟬にも詳しい。こんどは日本の山の花の図鑑です。なんというマルチ人間なんだろう。
 私が青山さんに注目する理由がもう一つあります。1994年に出した本に「日本の高山植物」(成美堂出版)がありますが、北海道と屋久島の本ではないかと思う位北海道の高山植物の写真が多く出てくるのです。

 そして今回のこの本にも北海道の植物の写真が多く採られています。配列は系統分類順に並べられ、スミレに関しては(黄花種)の仲間、(白・青・赤花種)の仲間に分けられています。撮影地が北海道のものは、エゾタカネスミレ(写2)、シレトコスミレ(写3)、シソバキスミレ(写2)、ジンヨウキスミレ(写2)エゾキスミレ(写3)、ケエゾキスミレ(写)、フギレオオバキスミレ(写)、タニマスミレ(写)、オオバタチツボスミレ(写)、エゾノタチツボスミレ、(写)アイヌタチツボスミレ(写)、オオタチツボスミレ(写)、アポイタチツボスミレ(写)の13種が出ています。
 巻末に「花の名山21」と題して礼文島、利尻島、羅臼岳、大雪山、アポイ岳、夕張岳の写真による紹介もあります。
 このうちタニマスミレの写真は残念ながらミヤマスミレですし、シレトコスミレの撮影地が羅臼岳となっているのは、「花の名山21」の文章を読むと羅臼岳からの縦走路に見られることをもって羅臼岳に代表させてしまっているようなのです。写真に写っている山の位置からもこれは羅臼岳ではありません。
 こういった失点はありますが、なんといってもこの本のすばらしいのは写真です。表紙のトウヤクリンドウの写真もその一例です。植物も素敵に写っていますが、それが生きている風景がきっちりと写し込まれているのです。その植物のまわりの空気までも捉えられているような写真なのです。エゾウサギギクの大雪山、エゾイヌナズナの礼文島、ゼンテイカの月山、キタダケソウの北岳、そしてエゾタカネスミレの大雪山の写真などなど、溜息の出るような写真ばかりです。

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