北海道高山植生誌
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北海道高山植生誌
著者:佐藤 謙 |
この本は、北海道の高山植生全体についてまとめられた初めての専門書であるとともに、佐藤謙先生の35年に渉る調査研究の集大成でもあります。
北海道の高山植物の立地を21の山系・地域に分け、各地域毎にその植物相、群落組成を詳述するとともに、植物社会学と植物地理学を総合した新しい見方で考察を行っています。著者自身の撮影による130頁にわたる口絵写真もすばらしい。
もちろん、この本の中にスミレ類がたくさん出てきます。
大雪山系:タカネスミレ(エゾタカネスミレ)、ジンヨウキスミレ、キバナノコマノツメ、オクヤマスミレ(タニマスミレ)
知床山系:シレトコスミレ、タカネタチツボスミレ
日高山系:ケエゾキスミレ、キバナノコマノツメ、タカネスミレ(エゾタカネスミレ)
夕張山系:タカネスミレ(エゾタカネスミレ)、キバナノコマノツメ、シソバキスミレ、アポイタチツボスミレ、フギレキスミレ
主要四山系以外の山岳:キバナノコマノツメ,フギレオオバキスミレ,オクヤマスミレ(タニマスミレ)、ウスバスミレ、ジンヨウキスミレ
低標高の特殊な立地:アポイタチツボスミレ、エゾキスミレ、マルバケスミレ(エゾアオイスミレ)、キバナノコマノツメ、アイヌタチツボスミレ
以上主だったものを書き出してみましたが、道内の高山植物の見られる所にはずいぶんたくさんのスミレ類がいっしょに生育しているということに改めて気が付かされます。山に登る時、一つの科スミレに重点を置いて道すがら見て行くだけでも楽しいものです。
山から帰って来て、また山へ行く計画を練る時に、この本を開いて地域毎にまとめられた総合常在度表をながめながら、これらのスミレたちがどのような環境の中で他のどんな高山植物たちと群落を構成しているのか、なぜそのスミレはそこにあるのか、どこから来たのか、夢想をめぐらすのもまた楽しい。
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